雨上がりの独特な香り「ペトリコール」。あの土や植物が雨に濡れた後に漂う、どこか懐かしく心落ち着く香りを香水で楽しめたら素敵ですよね。実は「ペトリコール」と呼ばれるこの香りは、1964年にオーストラリアの科学者たちによって名付けられ、今では香水の世界でも人気を集めています。
ペトリコールの香りを再現した香水は、単に雨の匂いだけでなく、様々なバリエーションがあります。土や植物の瑞々しさを強調したもの、雷雨の力強さを表現したもの、雨上がりの爽やかさを感じさせるものなど、同じ「雨」をテーマにしながらも、それぞれ異なる魅力を持っています。今回は、そんなペトリコール香水の魅力と、おすすめ商品を詳しくご紹介します。
記事のポイント!
- ペトリコールとは何か、その科学的背景と香りの特徴について理解できる
- 雨の香りを表現した人気香水10選の特徴と魅力がわかる
- 自分の好みに合った雨の香りの選び方のポイントがつかめる
- ペトリコール系香水の効果的な使い方や組み合わせ方がわかる

ペトリコール 香水とはどんな香りなのか
- ペトリコールは雨が乾いた土に降ったときの独特な香り
- ペトリコールという言葉の由来はギリシャ語の「石の血」
- 科学者が1964年に雨の香りを発見した経緯
- ペトリコールが鼻に届くメカニズムは雨粒の衝撃による
- 降り始めのペトリコールと雨上がりのゲオスミンの違い
- 香水業界でのペトリコール再現にはさまざまなアプローチがある
- ペトリコールを表現する香料にはアイリスやバイオレットが使われる
- 雨の香りの香水は好みが分かれやすいのでテスト必須
- ペトリコール系香水は重ねづけで個性を出せるアイテム
- 雨の香りはリラックス効果があり癒しを求める人に人気
- ペトリコール香水の持続時間は比較的短めのものが多い
- 自然の雨の香りを完全に再現した香水は存在しない
ペトリコールは雨が乾いた土に降ったときの独特な香り
「ペトリコール」とは、乾いた地面に雨が降った後に漂う独特の香りのことを指します。多くの人が「雨の匂い」として親しんでいるあの香りには、実は科学的な名前があったのです。
この香りは特に長い間雨が降っていなかった場所で雨が降り始めた時に強く感じられます。独自調査の結果、ペトリコールの香りは土や植物のナチュラルな香りと、雨が地面と触れ合うことで放たれる成分が混ざり合って生まれる複雑な香りであることがわかりました。
多くの人がこの香りに「懐かしさ」や「心地よさ」を感じるのは、自然界の原始的な香りに触れるからかもしれません。雨が降る前の独特の空気感、降り始めの瞬間の新鮮さ、そして雨上がりの湿った大地の香り。これらすべてが「ペトリコール」という言葉に集約されています。
香水の世界では、このペトリコールを再現しようと様々な試みがなされています。完全に自然のペトリコールを瓶に閉じ込めることは難しいものの、その本質を捉えた素晴らしい香水が多く存在します。
雨の香りを楽しみたい時、実際に雨が降るのを待つ必要はありません。ペトリコール香水があれば、いつでも雨の爽やかさや大地の香りを身にまとうことができるのです。
ペトリコールという言葉の由来はギリシャ語の「石の血」
「ペトリコール」という言葉自体にも興味深い由来があります。この言葉は1964年にオーストラリアの研究機関の科学者たちが発表した論文から生まれました。
ギリシャ語で石を意味する”Petra”と、神々の血を意味する”Ichor”を組み合わせた造語です。「石の血液」という意味合いで、乾いた岩石や土壌に閉じ込められていた油分が雨によって解放される現象を詩的に表現しています。
科学者イザベル・ベアとリチャード・トーマスは、1964年3月7日に科学雑誌「Nature」に「Nature of Argillaceous Odour(粘土質の香りの性質)」という論文を発表し、初めてペトリコールについて記述しました。彼らは「干ばつに見舞われた牛がこの『雨の香り』に対して落ち着かない反応を示す」という現象に着目したことが研究のきっかけとなりました。
当時、インドの香水業界ではこの香りがサンダルウッドに近いという認識があったものの、その原因の解明には至っていませんでした。科学者たちは研究を進め、暖かく乾燥した空間にさらされた岩石を蒸留することで、香りの原因となる黄色い油を発見しました。
この発見によって、長い間人々が感じていた「雨の匂い」に科学的な説明が与えられました。人間の嗅覚の繊細さと自然界の複雑な相互作用を示す素晴らしい例と言えるでしょう。
科学者が1964年に雨の香りを発見した経緯

1964年、オーストラリアの科学者たちによるペトリコールの発見は、偶然の観察から始まりました。イザベル・ベアとリチャード・トーマスという二人の科学者は、干ばつの後に雨が降り始めると牛が落ち着きを失う現象に興味を持ちました。
彼らは、動物がこの香りに反応するなら、そこには何か特別な成分があるはずだと考えました。研究を進めるうちに、彼らはインドの香水業界でも似たような香りが注目されていることを知ります。インドでは雨の香りがサンダルウッドに似ているという認識がありましたが、具体的な成分は特定されていませんでした。
科学者たちは実験を重ね、乾燥した岩石や土壌から特定の油を抽出することに成功しました。彼らは蒸留という方法を用いて、暖かく乾燥した空間にさらされた岩石から黄色い油を取り出しました。この油こそが、雨が降った時に放出される香りの正体だったのです。
この発見は科学雑誌「Nature」に掲載され、科学界に大きな影響を与えました。彼らは新しい現象を説明するために「ペトリコール」という言葉を造り出し、長い間人々が感じていた「雨の匂い」に公式な名前を与えたのです。
この研究は、人間の感覚と自然現象の関係を理解する上で重要な一歩となりました。日常的に感じる香りの中に、まだ解明されていない科学的な現象が隠れているということを示す素晴らしい例となったのです。
ペトリコールが鼻に届くメカニズムは雨粒の衝撃による
ペトリコールの香りが私たちの鼻に届くメカニズムは、単純なようで実は複雑なプロセスを経ています。雨が降る前、湿度の上昇によって石や土の細孔に微量の水が入り込みます。これが最初のステップです。
そして雨が本格的に降り始めると、雨滴が地面や石に衝突します。この衝撃によって、石や土の中に閉じ込められていた香り成分(香気成分)が解放されるのです。つまり、雨そのものが香りを持っているわけではなく、雨が地面や岩と接触することで放出される成分が香りの正体なのです。
2015年にマサチューセッツ工科大学の科学者チームが行った研究では、このプロセスがスローモーションビデオで撮影されました。雨滴が地面に当たる瞬間、微小な泡が形成され、それが弾けることで香り分子が空気中に放出される様子が確認されています。
このメカニズムにより、雨が降り始めた直後が最も強くペトリコールの香りを感じることができます。風によってこの香りは周囲に広がり、私たちの鼻に届くというわけです。
雨の直後に外に出ると強く感じるあの独特の香りは、まさにこのプロセスの結果なのです。自然界の複雑な相互作用が生み出す芸術的な現象と言えるでしょう。
降り始めのペトリコールと雨上がりのゲオスミンの違い
雨の香りは、降り始めと雨上がりで異なることをご存知でしょうか。これは「ペトリコール」と「ゲオスミン」という異なる成分が関係しています。
雨が降り始めたときに感じる優しくノスタルジックな印象の香りは、「ペトリコール」と呼ばれます。この香りの主成分は植物のオイルなので、ふわりと柔らかな香りが広がるのが特徴です。土や植物の優しい香りに包まれたい人には、このペトリコールの香りに近い香水がおすすめです。典型的なペトリコールの香りは、リラックス感のあるウッディ系やシトラス系の香水で表現されることが多いようです。
一方、雨が降った後に感じる少し泥臭いツンとする香りの正体は、「ゲオスミン」と呼ばれる成分です。これはペトリコールの中の一成分で、カビ臭などの原因にもなる物質です。土の香りが強く広がり、雨上がりの湿った感じを生み出しています。
実際に雨上がりに外の匂いをかぐと、きつい香りだと感じる人もいるかもしれません。しかし、香水で表現されるゲオスミンの香りは、そのままの強さではなく、すっきりとした嫌味のない形に仕上げられていることが多いです。多くの香水が雨上がりの匂いをそのまま再現するのではなく、洗練された爽快感のある香りにまとめています。
雨上がり特有の香りを表現している香水が欲しい人には、ハーバルな香りやスパイシーな香りがする香水がぴったりでしょう。
香水業界でのペトリコール再現にはさまざまなアプローチがある
香水業界では、ペトリコールという特殊な香りを再現するために、さまざまなアプローチがとられています。単に「雨の匂い」といっても、その表現方法は香水ブランドや調香師によって大きく異なります。
一部のブランドは、実際のペトリコールの化学成分を分析し、それに近い合成香料を使用しています。例えば、エタ リーブル ド オランジェの「エルマン」は、雨上がりの匂いの主成分である「ゲオスミン」を実際に香料として配合しています。これは珍しいアプローチで、より本物に近い雨の香りを再現しようという試みです。
一方で、自然界のペトリコールの「印象」を再現しようとするブランドもあります。例えばディメーターの「ペトリコール」は、濡れた土や草の香りを中心に、心がスーッとするような癒しの香りに仕上げています。完全な科学的再現ではなく、人々が「雨の匂い」として認識する感覚的な香りを目指したアプローチです。
また、雨をテーマにしながらも、より芸術的な解釈を加えるブランドもあります。メゾンマルジェラの「レプリカ ウェン ザ レイン ストップス」は、雨の香りだけでなく、雨上がりに陽が差した時の暖かさや明るさも表現しています。
さらには、雨の特定の側面を強調するアプローチもあります。サンダーストームのような荒々しい雨、静かに降る繊細な雨、雨上がりの庭園など、「雨」というテーマの中でもさまざまなシチュエーションを表現した香水が存在します。
これらの多様なアプローチにより、自分の好みや求める雨の印象に合った香水を見つけることができるのです。
ペトリコールを表現する香料にはアイリスやバイオレットが使われる
香水の世界では、ペトリコールのような複雑な自然現象を再現するために、特定の香料が伝統的に使われてきました。その中でも特に重要なのが、アイリス(菖蒲)とバイオレット(菫)です。
アイリスは、その根から抽出される成分(オリス)が、湿った土や雨に濡れた大地の香りに似ていることから、古くから雨の香りを表現するために用いられてきました。例えば、老舗ブランドのゲランが発表した「アプレロンデ(驟雨の後で)」は、アイリスを中心にして雨上がりの空気を表現したことで知られています。
同様に、バイオレットの葉から抽出される成分も、雨の香りの表現に欠かせません。バイオレットリーフには、湿った大地や緑の草のような香りがあり、雨上がりの爽やかさを表現するのに最適です。
実際、Elisireの「プードルデジール」では、アイリスを中心に据えて雨上がりの太陽の下で咲く花をイメージした香りを作り上げています。冷たい空気の中に咲くアイリスとジャスミン、そしてふんわりと優しいムスクが組み合わさることで、雨上がりの清々しい雰囲気を表現しています。
また、よりモダンな香水では、アイリスやバイオレットといった伝統的な素材に加えて、「オゾン」や「アクアティック」と呼ばれる香料も使われます。これらは空気中の水分や雨の落ちる音のような、より抽象的な「雨」の側面を表現するのに役立っています。
これらの香料を組み合わせることで、調香師たちは自然界のペトリコールを自分なりに解釈し、芸術的な香りとして瓶に閉じ込めているのです。
雨の香りの香水は好みが分かれやすいのでテスト必須
雨の匂いをモチーフにした香水は、その独特な性質から好みが分かれやすい傾向があります。特に雨上がりの土の香りやゲオスミンのようなツンとした成分を含む香水は、人によって受け取り方が大きく異なります。
ある人にとっては懐かしく心地よい香りでも、別の人にとっては不快に感じることもあるため、購入前にテストすることが非常に重要です。雨の匂いをモチーフにした香水の多くは、雨の匂いをそのまま忠実に再現しているわけではないものの、付けすぎると雨の匂いが強くなりすぎて、周囲に不快感を与えてしまう可能性があります。
テストする際は、実際に肌につけて時間の経過とともにどう変化するかを確認することをおすすめします。香水の香りは、つけた直後(トップノート)、30分〜1時間後(ミドルノート)、数時間後(ラストノート)で変化していきます。ディメーターのような「シングルノート」と呼ばれる香水は時間経過による変化が少ないものの、他のブランドの香水では変化が大きいことがあります。
また、自分だけでなく、身近な人の意見も聞いてみると良いでしょう。自分では気に入った香りでも、周囲の人には異なって感じられることがあります。特に日常的に使う香水の場合は、この点を考慮することが大切です。
もし実際にテストする機会がない場合は、少量サイズ(ミニボトルやサンプル)から試してみることをおすすめします。例えば、NOSE SHOPでは「雨の香り」をテーマにしたミニ香水セットも展開されており、複数の雨系香水を比較することができます。
ペトリコール系香水は重ねづけで個性を出せるアイテム
ペトリコール系の香水の魅力の一つは、他の香水と重ね付けすることで、自分だけのオリジナルの香りを作り出せる点にあります。特にディメーターのような「シングルノート」の香水は、このレイヤリング(重ね付け)に最適です。
例えば、ディメーターの「ペトリコール」に同じブランドの「ハニーデューメロン」を重ねると、「雨上がりの畑でメロンを手に持って立っている」というユニークなシチュエーションの香りが生まれます。雨の爽やかさとフルーツの甘さが混ざり合うことで、より立体的で個性的な香りに仕上がります。
また、ペトリコールにフローラル系の香りを重ねれば、「雨に濡れた花畑」のような香りになります。バラやジャスミンなどの華やかな花の香りと、雨の湿った空気感が組み合わさることで、ロマンティックな雰囲気を演出できます。
重ね付けの基本は、まず重めの香水(通常はペトリコール系)を先につけ、その上から軽めの香水を重ねるというものです。付ける順番や量によっても香りの印象は変わるので、いろいろな組み合わせを試して自分だけの「雨の日の物語」を見つけてみてください。
ディメーターの公式サイトでは、「香水診断」というサービスも提供されています。自分の好みに合った香りのグループを診断してくれるので、レイヤリングに適した香水を見つける参考になるでしょう。特にペトリコール系の香水は「ウェザー/アウトドア」というグループに分類されており、フローラル系との組み合わせが推奨されています。
自分だけの雨の香りを創造する楽しさも、ペトリコール系香水の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
雨の香りはリラックス効果があり癒しを求める人に人気
ペトリコールをはじめとする雨の香りには、リラックス効果があることが知られています。多くの人が雨の音や匂いに心地よさを感じるのは、そこに自然界の癒しの要素が含まれているからかもしれません。
特に現代の都会的な生活の中で、自然の香りは貴重なものとなっています。ストレスや疲れを感じる時、雨の香りを纏うことで一時的に別の場所へ心を運ぶことができます。例えば、オフィスでの緊張した一日の後、ペトリコール系の香水を身につけることで、森の中で雨に濡れている感覚を思い起こし、心を落ち着かせることができるでしょう。
実際のレビューを見ても、「心がスーッとする」「癒される」という声が多く寄せられています。特にディメーターの「ペトリコール」や「サンダーストーム」は、派手さや甘さのない、自然そのものの香りが魅力となっています。
また、寝る前にペトリコール系の香水を枕元や寝具に少量吹きかけると、リラックス効果があるという使い方も人気です。特に「キットゥンファー」(子猫の毛皮)のような優しい香りとペトリコールを組み合わせた香りは、安眠を促す効果があると言われています。
香りによる心理的効果は個人差がありますが、雨の香りに懐かしさや安らぎを感じる人は多いようです。自然との繋がりを感じられる香りは、現代社会において貴重な癒しの一つになっているのかもしれません。
ペトリコール香水の持続時間は比較的短めのものが多い
ペトリコールや雨の香りを表現した香水の多くは、持続時間が比較的短めであることを知っておくと良いでしょう。これは香水の種類や濃度によるものですが、特にディメーターのような「コロン」と呼ばれるタイプは、持続時間が1〜2時間程度と考えておくのが良いでしょう。
コロンは香料の濃度が3〜5%程度と低いため、香りが軽く、持続時間も短めです。これは一概に欠点というわけではなく、香りの変化を楽しみたい人や、状況に応じて香りを変えたい人には逆にメリットになります。また、香りが強すぎず自然な印象を与えられるのも特徴です。
ディメーターの公式サイトでも「どの香りかにもよりますが、ディメーターの香水は全てコロンのため、1〜2時間を目途にお考え下さい」と説明されています。
持続時間を長く楽しみたい場合は、以下のような工夫をすると良いでしょう:
- 衣服に吹きかける(ただし、シミになりやすい素材には注意)
- 髪の毛に少量吹きかける(香りが髪に残りやすい)
- 持ち運び用の小さなアトマイザーに入れて、外出先で付け直す
- EDP(オードパルファム)など、より濃度の高いタイプの雨の香りを選ぶ
また、香水をつける場所によっても持続時間は変わります。手首や首元などの体温が高い場所につけると香りが強く広がりますが、その分早く消えてしまう傾向があります。一方、衣服の内側や髪の毛につけると、ゆっくりと香りが広がり、比較的長く楽しむことができます。
ペトリコール系の香水は、その自然な香りの特性上、強く長時間持続するよりも、ふわっと感じる程度の繊細さが魅力とも言えるでしょう。
自然の雨の香りを完全に再現した香水は存在しない
香水業界がどれだけ技術を発展させても、実際の自然界のペトリコールの香りを100%完全に再現することは現状では不可能と言われています。これにはいくつかの理由があります。
まず、本物のペトリコールは非常に複雑な成分の組み合わせから成り立っています。乾いた土、植物のオイル、バクテリアが作り出すゲオスミン、周囲の環境因子など、様々な要素が絡み合っています。これらをすべて正確に分析し、同じ比率で再現することは技術的に非常に困難です。
また、ペトリコールの香りは環境によって大きく異なります。森の中の雨、砂漠の雨、都会のアスファルトに降る雨、それぞれが異なる香りを持っています。どの「雨の香り」を再現するかという点で、既に解釈が入ってしまうのです。
さらに、実際のペトリコールは時間とともに変化し、その瞬間しか感じられない一過性のものです。それを瓶に閉じ込めて何ヶ月も同じ香りを保つということ自体が、自然界の摂理に反しているとも言えます。
こうした理由から、香水の「ペトリコール」や「レイン」は、あくまでも調香師の解釈による芸術的な表現と考えるのが適切でしょう。完全な再現ではなく、雨の「印象」や「記憶」を表現したものなのです。
実際のところ、多くのユーザーレビューでも「本物の雨の香りとは少し違う」という声が見られます。しかし、それを否定的に捉えるよりも、調香師による雨の解釈として楽しむ方が、香水の世界をより深く味わえるのではないでしょうか。
完璧な再現を求めるよりも、自分が「雨」から連想する香りや感覚に近いものを見つけることが、ペトリコール香水を選ぶ際の楽しみと言えるでしょう。

おすすめのペトリコール 香水10選とその特徴
- ディメーター「ペトリコール」は雨の匂いの定番商品
- ディメーター「サンダーストーム」は雷雨を連想させる力強い香り
- ルラボ「ベ19」はオゾンの香りをベースにした雨の表現
- メゾンマルジェラ「レプリカ ウェン ザ レイン ストップス」は雨上がりの暖かさを表現
- J-Scent「恋雨」はノスタルジックな雨の香りと華やかさを兼ね備える
- ディメーター「レイン」は雨そのものの青臭さも再現した商品
- バイレード「オープンスカイ」は水そのもののような新鮮さが特徴
- クルジャン「アクア ユニヴェルサリス」は男女問わず使える上品な雨の香り
- エタ リーブル ド オランジェ「エルマン」はゲオスミンを含む大人の雨の香り
- コモディティ「レイン」はフローラル要素を加えた洗練された雨の表現
- ディメーター「ウェットガーデン」は華やかさを感じるグリーンな香り
- ネッビア「ネビア フィッタ」と「ピオッジア モデラータ」は異なる雨の表現
- まとめ:ペトリコール 香水で自分好みの雨の香りを見つけよう
ディメーター「ペトリコール」は雨の匂いの定番商品
ディメーターの「ペトリコール」は、雨の匂いがする香水と言ったらまず名前が挙がる定番中の定番商品です。ブランド名の「ディメーター」はギリシャ神話の豊穣の女神の名前で、自然の香りを瓶に閉じ込めるというコンセプトを持っています。
この香水は、乾いた地に久々の雨が降った後に地面から漂ってくる香りを表現しています。注目すべきは、都会のコンクリートに降る雨ではなく、土や木に降った雨の後に残る香りに焦点を当てている点です。濡れた土、濡れた草の香りが主体で、派手さや甘さのない、心がスーッとするような癒しの香りに仕上がっています。
ディメーターの香水はシングルノートという特徴があります。これは時間経過によって香りが変化しないという意味で、付け始めから最後まで統一感のある雰囲気を演出することができます。ただ、単調になりがちなシングルノートですが、「ペトリコール」にはアクセントとして酸味のある柑橘系の香りがプラスされており、飽きの来ない香りに仕上がっています。
ユーザーレビューを見ると、雨の香りというよりも「水っぽい香り」「スイカのような香り」という声もあります。これは人によって雨の匂いの感じ方や記憶が異なるため、受け取り方にも違いが出るのでしょう。
価格は3,960円(30ml)とお手頃で、初めてのペトリコール系香水としてもおすすめです。ディメーターの「ペトリコール」は、自然の雨の匂いそのものを楽しみたい人、自然界の癒しを求める人に特に適した一本と言えるでしょう。
ディメーター「サンダーストーム」は雷雨を連想させる力強い香り
ディメーターの「サンダーストーム(雷雨)」は、雨の香りの中でも特に力強く印象的な香りを持っています。「ペトリコール」が静かに降る雨のイメージであるのに対し、「サンダーストーム」は嵐や雷雨のような激しい雨をイメージした香水です。
この香水の特徴は、土や植物の匂いとアスファルトの匂いが混ざった雨上がりのような香りです。雨の匂いの中でも特に強い印象を与えるタイプですが、不思議なことに強い香りでありながら不快感がなく、むしろ軽くさっぱりとした印象にまとまっています。
コロンに分類される香水なので、キツすぎずふんわりとした香り立ちも特徴です。実際のユーザーレビューでは「本当に土と苔と水の匂い。嫌な感じはなく、山でトレッキングしているような気持ちになれました」という声もあります。
なお、こちらもディメーターの香水のため、シングルノートという特徴があります。時間の経過で香りが変化するわけではなく、一貫した雷雨の雰囲気を楽しむことができるでしょう。
価格は3,960円(30ml)と手頃で、「ペトリコール」よりもやや強めの雨の香りを探している方におすすめです。また、ディメーターの香水は重ね付けを楽しむこともできます。例えば「サンダーストーム」と「ペトリコール」を組み合わせれば、激しい雨から小降りになっていく様子を表現することもできるでしょう。
雨の香りの中でも特に力強いものを求める人や、自然の持つダイナミックな一面を感じたい人にぴったりの一本です。
ルラボ「ベ19」はオゾンの香りをベースにした雨の表現

ルラボの「ベ19」は、オゾンの香りをベースにした独特の雨の表現が特徴の香水です。ルラボはニューヨーク発のニッチフレグランスブランドで、シンプルながらも個性的な香りづくりで知られています。
「ベ19」はジュニパーベリーやパチュリがペトリコールのように香り、植物ならではのみずみずしさを演出しています。軽やかな雰囲気が、大地をかけめぐるような爽快感を与えてくれる香りです。特に注目すべきは「オゾン」という香料の使用です。オゾンとは雷が発生した時や雨の前に感じる特有の空気の香りを表現したもので、雨の予感を香りで表現しています。
時間が経過するとムスクやケイドのゆったりとした素朴な香りに変化し、包まれるようなおおらかな印象になります。付け始めから終わりまで、雨の持つダイナミックな一面をよく感じられる香りに仕上がっています。
価格帯はディメーターよりも高めで、およそ2万円前後(50ml)となっています。香水のサイズ展開も豊富で、お試し用の1.5mlのミニサイズから購入することもできます。実際に香りを確かめてから本購入を検討したい方にはこのミニサイズがおすすめです。
ルラボの「ベ19」は、単なる雨の匂いではなく、雨の降る前から降った後までの空気の変化や、植物が雨に濡れる瞬間の香りまでをも表現した芸術的な一本です。より洗練された雨の香りを求める方や、独特の解釈によるペトリコールの表現を楽しみたい方におすすめの香水です。
メゾンマルジェラ「レプリカ ウェン ザ レイン ストップス」は雨上がりの暖かさを表現
メゾンマルジェラの「レプリカ ウェン ザ レイン ストップス(雨が止んだとき)」は、雨そのものというよりも、雨上がりの柔らかな雰囲気を表現した香水です。このブランドの「レプリカ」シリーズは、特定の時間や場所の記憶を香りで再現するというコンセプトを持っています。
この香水の特徴は、雨の匂いというよりも、雨の後の暖かい空気感を纏いたい人におすすめの香りであるという点です。ローズやジャスミンなどの華やかな花の香りによって、雨上がりに特有の湿った感じではなく、雨が止んだ後の爽やかな天気を連想させるような明るい雰囲気に仕上がっています。
トップノートには、ベジタルアコード・ピンクペッパー・ベルガモットオイルを配合。ミドルノートではローズ・ジャスミン・アクアティックアコードが香り、ラストノートではパチョリ・モスアコード・パインニードルオイルが残ります。この香りの変化が、雨が止んでから太陽が差し、徐々に空気が暖かくなっていくような情景を連想させます。
マルジェラらしい洗練されたモード感もこの香水の魅力の一つです。香り立ちもしっかりとしているので、長く楽しむことができます。
価格帯はやや高めで、100mlで約2万円前後となっています。しかし、毎日使うのが楽しくなるような、幸せいっぱいの香りに仕上がっていますので、特別な一本として持っておく価値があるでしょう。
雨そのものの匂いよりも、雨上がりの明るさや希望を感じさせる香りを求める方に特におすすめの香水です。
J-Scent「恋雨」はノスタルジックな雨の香りと華やかさを兼ね備える
J-Scent(ジェイセント)の「恋雨」は、日本発のフレグランスブランドが作り出した、ノスタルジックな雨の香りが特徴の香水です。「恋雨」というロマンティックな名前の通り、単なる雨の匂いではなく、そこに恋心や情緒を感じさせる要素が加えられています。
この香水の最大の特徴は、雨の匂いに加えて華やかな香りもプラスしている点です。雨の香りに加えて女性らしい甘く華やかな香りを求める方にぴったりのアイテムと言えるでしょう。
トップノートはベルガモット・アップル・ピーチ・マンダリン・カシス・レモン・グリーンノートと、フルーティな香りが中心。ミドルノートはジャスミン・ローズ・ウォーターリリー・マグノリア・バイオレットという華やかな花々の香り。そしてラストノートはシダーウッド・モッシーノート・ムスクと、しっとりとした落ち着きのある香りへと変化していきます。
特にトップノートのカシスやマンダリンは、降り始めを予感させるようなペトリコールの香りを表現しています。そしてミドルでマグノリアやローズが香ることで、一気に華やかさをプラスします。雨の匂いながらも重たい雰囲気を感じさせない、バランスの良い仕上がりになっています。
価格は他のニッチブランドと比べても手頃で、50mlで約1万円前後。日本製ならではの繊細さと品質の高さを感じられる一本です。
「恋雨」は、雨の匂いが好きだけど少し華やかさも欲しい、あるいは日常使いしやすい雨の香りを探している方におすすめです。日本的な情緒と洗練された香りのバランスが絶妙な、特別な一本と言えるでしょう。
ディメーター「レイン」は雨そのものの青臭さも再現した商品
ディメーター「レイン(雨)」は、名前の通り雨の匂いにこだわり抜いた香水です。先に紹介した同ブランドの「ペトリコール」が雨上がりの土の香りを表現しているのに対し、「レイン」は雨が降っている最中の香りをより強く感じさせる商品になっています。
この香水の最大の特徴は、雨が降っているときの香りをとにかく強く感じたい人にぴったりという点です。「レイン」の香りは雨の香りそのものだけではなく、雨が降っているみずみずしい雰囲気も演出しています。
ユーザーレビューでは「きゅうりのような匂い」と評価する声も多く、人によっては青臭いと感じる可能性もあります。しかし、その「みずみずしさ」はまさに雨の降っている様子を鮮明に表現しているということでもあります。
他のディメーター製品と同様、「レイン」もシングルノートの香水なので、時間が経過しても香りの印象はあまり変わりません。また、他の香水と重ね付けすることで、自分だけのオリジナルの雨の表現を作り出すこともできます。例えば「レイン」と「ペトリコール」を組み合わせれば、雨が降っている最中から雨上がりまでの変化を表現できるでしょう。
価格は3,960円(30ml)と手頃で、ディメーターの他の製品と同じ価格帯なので、複数購入して組み合わせを楽しむこともできます。
「レイン」は、より写実的な雨の表現を求める方や、雨の降る風景をそのまま香りで表現したいという方におすすめの一本です。ただし、その特徴的な香りは好みが分かれる可能性があるので、購入前にテストすることをおすすめします。
バイレード「オープンスカイ」は水そのもののような新鮮さが特徴
バイレードの「オープンスカイ」は、雨の香りというよりも、水そのもののような新鮮な印象を与える香水です。バイレードはスウェーデン発のニッチフレグランスブランドで、ミニマルでありながらもストーリー性のある香りづくりで知られています。
「オープンスカイ」の最大の特徴は、自由に旅することを胸焦がれるような、すっきりとした明るい雰囲気の香りである点です。雨の香りというよりも、水そのもののような新鮮な印象をまといたい人におすすめの香水です。
トップノートには、ポメロとブラックペッパーが配合されています。ポメロが柑橘系特有の爽やかな印象を演出し、晴れた日に降る「お天気雨」のような、突き抜ける爽快感を感じさせます。ミドルノートにはヘンプ(麻)が使われ、ラストノートにはパロサントとベチパーが加わることで、つやっぽくもゆったりとした香りに変化していきます。
全体的に大人っぽい洗練された印象の香りに仕上がっていますが、どこか開放的で、広い青空の下にいるような気分にさせてくれます。バイレードの他の香水と同様に、ユニセックスで使える香りなので、男女問わず楽しむことができます。
価格帯はやや高めで、50mlで約2万円前後となっていますが、その独特の爽快感は他の香水では得られない体験を提供してくれるでしょう。
「オープンスカイ」は、雨そのものというよりも、雨上がりの清々しさや開放感を求める方におすすめの香水です。水のような透明感と、大人の落ち着きが絶妙に融合した、特別な一本と言えるでしょう。
クルジャン「アクア ユニヴェルサリス」は男女問わず使える上品な雨の香り
クルジャンの「アクア ユニヴェルサリス オードトワレ」は、同ブランドの「アクア」シリーズの中で特に人気のある香りです。クルジャンはフランシス・クルジャンが立ち上げた香水ブランドで、洗練された高級感のある香りづくりで知られています。
この香水の最大の特徴は、男女問わず似合うユニセックス仕様である点です。すみわたるような香りは使うシーンを選ばないので、仕事場でもプライベートでも上品に香ってくれます。
配合されている香料は、ベルガモット・セドラ(シトラス系香料)・ホワイトフラワー・ムスクとシンプルながらも調和のとれた組み合わせ。セドラやホワイトフラワーが雨のみずみずしさを感じるような心地の良い香りを演出し、すっきりとまとまっているので、日常使いにもぴったりの香水です。
雨の香りというよりは、水そのものの透明感や清らかさを表現した香りという印象で、激しい雨ではなく静かに降る春の雨のようなイメージがあります。強すぎず弱すぎない、バランスの取れた香りなので、香水初心者の方にもおすすめです。
価格帯は50mlで約2万円前後と、高級ブランドならではの設定ですが、その品質と持続性を考えれば納得の価格と言えるでしょう。
「アクア ユニヴェルサリス」は、派手な雨の表現ではなく、上品で洗練された水の表現を求める方に特におすすめの香水です。毎日使いたくなるような、飽きのこない雨の香りを探している方に最適な一本と言えるでしょう。
エタ リーブル ド オランジェ「エルマン」はゲオスミンを含む大人の雨の香り
エタ リーブル ド オランジェの「エルマン(もう一人の自分)」は、ダークな印象がありながらもセクシーで魅惑的な雨の香りが特徴の香水です。このフランスのニッチブランドは、挑戦的で個性的な香りづくりで知られています。
「エルマン」の最大の特徴は、実際に雨上がりの匂いの主成分である「ゲオスミン」を香料として使用している点です。これは雨の香水の中でも珍しいアプローチで、より本物に近い雨上がりの土の香りを再現することに成功しています。
フランスの小説家であるユーゴーのセリフ「暗闇の森で2人の騎手のうち一人が答えた。『隣りのエルマンは、私の影のようだった。』」からアイデアを得た香りで、大人の余裕を感じさせるような印象があります。
トップノートはガルバナム・ブラックカラント・ブラックペッパーが、ビターでスパイスの効いたつやっぽい香りを演出。ミドルノートはゲオスミン・ローズ・インセンスで、大地の雄大さを感じるような土や植物のナチュラルな香りを再現しています。そして、ラストノートはパチョリ・ベチバー・アンブロクサンと、深みのある大人の香りへと変化していきます。
雨上がりの匂いがする香水の中でもゲオスミンを調合しているのは珍しいので、雨上がりの匂いを強く感じたい人におすすめの香水です。
価格帯は50mlで約2万円前後と高めですが、他にはない独特の雨の表現を楽しめる価値のある一本です。
「エルマン」は、より大人っぽく個性的な雨の香りを求める方や、雨上がりの土の香りをより本格的に楽しみたい方におすすめです。フランス文学にインスパイアされた知的な香りは、自分の内なる影と向き合うような不思議な魅力を持っています。
コモディティ「レイン」はフローラル要素を加えた洗練された雨の表現
コモディティの「レイン」は、きらめく雨のしずくを連想させるような活力に満ちた香りが特徴の香水です。コモディティはシンプルで使いやすい香りを提案するブランドとして知られています。
この香水の最大の特徴は、雨の中でまっさらに生まれ変わるような神秘的な香りを放ち、洗練された雰囲気を演出する点にあります。雨の匂いが持つ泥臭さはなく、フリージアやジャスミンの華やかな香りによって上品な印象に仕上がっています。
トップノートにはグリーンアコード・ベルガモット・レモン・バーベナという爽やかな香りが広がり、ミドルノートではフリージア・ジャスミン・ロータスブロッサムといった華やかな花の香りへと変化します。そしてラストノートではアンバー・ムスク・シアーウッドが香りに深みと奥行きをプラスしてくれます。
フルーティーでかつフローラルの香りなので、クセが少なく万人受けしやすい香水に仕上がっています。雨の香りの中でも特に女性らしさや華やかさを感じさせたい方におすすめです。
価格帯は50mlで約1万5千円前後と、ニッチブランドの中では比較的手頃な設定になっています。日常使いのしやすさを考えると、コストパフォーマンスも良いと言えるでしょう。
「レイン」は、雨の香りでありながらも華やかさや明るさを求める方、あるいは雨の香水に興味はあるけれど強すぎる土の香りは避けたいという方に特におすすめの一本です。洗練された雨のイメージを、より親しみやすい形で楽しむことができる香水です。
ディメーター「ウェットガーデン」は華やかさを感じるグリーンな香り
ディメーターの「ウェットガーデン(濡れた庭)」は、雨に濡れた庭園の香りを表現した香水です。先に紹介した同ブランドの「ペトリコール」や「レイン」が雨そのものの香りを重視しているのに対し、「ウェットガーデン」は雨に濡れた植物や花々の香りにフォーカスしたアイテムです。
この香水の最大の特徴は、所々に華やかさを感じるグリーンな香りである点です。単なる雨の香りではなく、雨に濡れた庭の草花の香りが加わることで、より豊かな自然の情景を思い起こさせます。
ユーザーレビューを見ると、「スーッとした清涼感があり、雨に濡れた草木の香りがする」という声や「青々とした植物の香りが爽やか」という声が多く見られます。ペトリコールに比べると土の香りは控えめで、植物のフレッシュさがより強く感じられる香りに仕上がっています。
他のディメーター製品と同様に「ウェットガーデン」もシングルノートなので、時間の経過による香りの変化はあまりありません。また、重ね付けも楽しむことができ、例えば「ウェットガーデン」と「ローズ」を組み合わせれば、雨に濡れたバラ園のような香りを作り出すことができるでしょう。
価格は3,960円(30ml)と他のディメーター製品と同じ価格帯で、気軽に試すことができます。
「ウェットガーデン」は、雨の香りの中でも特に植物の瑞々しさや生命力を感じたい方におすすめの一本です。雨上がりの庭園を散歩するような爽やかな気分を味わいたい方には、特に適した香水と言えるでしょう。
ネッビア「ネビア フィッタ」と「ピオッジア モデラータ」は異なる雨の表現
イタリアのブランド「ネッビア」から発売されている「ネビア フィッタ(厚い霧)」と「ピオッジア モデラータ(ほどよい雨)」は、雨や霧をテーマにした個性的な香水です。これらは鬼才フィリッポ・ソルチネッリが手がける「アトモスフィア・デモーション」というコレクションの一部で、自身と外との境界が曖昧になることを霧や雨にたとえた作品となっています。
「ネビア フィッタ」の特徴は、まさにしんとした雨の中を歩いているような感覚を与える香りである点です。トップノートには「湿った地面」という香料がクレジットされており、これはペトリコールを思い起こさせる香りです。雨上がりのじめっとした空気感にパチョリの土っぽさや森の葉の青さを感じることができ、雨上がりの森を歩いているような感覚になる香りとなっています。
一方、「ピオッジア モデラータ」はミラノを舞台にした雨の表現です。この香水には「ミラノを歩きながら、濡れた道に感情を描く自分を見つけたときの郷愁」という意味が込められています。ジャスミンやアイリスの中にマリンノートの雨音とアーシーノートのどっしりとした雨の香りが混じり合った写実的な雨の香りが特徴です。
どちらの香水も、単なる雨の再現ではなく、雨や霧を通じて感情や記憶を表現するという芸術的なアプローチが取られています。ボトルの見た目も特徴的で、黒い綿があしらわれたデザインになっています。
価格帯はやや高めで、100mlで約2万5千円前後となっています。しかし、その独創的な香りと芸術性を考えれば、価値のある投資と言えるでしょう。
これらの香水は、より詩的で芸術的な雨の表現を求める方や、雨をテーマにした香水コレクションを持ちたいマニアの方におすすめです。日常使いというよりは、特別な瞬間に身につけたい香りと言えるでしょう。

まとめ:ペトリコール 香水で自分好みの雨の香りを見つけよう
最後に記事のポイントをまとめます。
- ペトリコールとは乾いた地面に雨が降った時に感じる独特の香りのこと
- ペトリコールという言葉は1964年にオーストラリアの科学者が命名した
- 雨の香りには降り始めの「ペトリコール」と雨上がりの「ゲオスミン」がある
- 雨の匂いを表現した香水は各ブランドで異なるアプローチがとられている
- ディメーターの「ペトリコール」は雨の匂いの定番で初めての人におすすめ
- ディメーターの「サンダーストーム」は雷雨のような力強い印象の香り
- ルラボの「ベ19」はオゾンの香りで雨の予感を表現している
- メゾンマルジェラの「レプリカ ウェン ザ レイン ストップス」は雨上がりの暖かさを表現
- J-Scent「恋雨」は日本発の香水で雨と華やかさを兼ね備えている
- エタ リーブル ド オランジェの「エルマン」は実際にゲオスミンを含む珍しい香水
- ペトリコール系香水は重ね付けで自分だけの雨の表現を作れる
- 雨の香りは好みが分かれやすいので購入前にテストすることが重要