エルメスのフレグランスコレクション「エルメッセンス」の中でも、ひときわミステリアスな存在感を放つ《ミルラ エグランティーヌ》。古代から神聖な儀式に使われてきたミルラ(没薬)と、野生のバラが織りなす香りは、一体どんな印象を与えるのでしょうか。「甘くスパイシーでオリエンタル調」「みずみずしい青さのあるローズ」といった表現だけでは、なかなか具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。
そこで本記事では、インターネット上に散らばる情報を収集し、《ミルラ エグランティーヌ》の香りの特徴から使用シーン、価格情報、エルメスの香水作りの哲学まで、多角的に掘り下げていきます。香水選びで失敗したくない方、エルメスの香りに興味がある方、そして何より「この香水、実際どんな匂いなの?」と疑問を抱いている方に向けて、詳しく解説していきます。
この記事のポイント |
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✓ エルメス《ミルラ エグランティーヌ》の具体的な香りの印象と成分 |
✓ 4000年の歴史を持つミルラという香料の特徴と魅力 |
✓ 野生のバラ「エグランティーヌ」がもたらす独特のフレッシュさ |
✓ エルメッセンスコレクションの哲学と調香師のこだわり |

エルメス オードトワレ《ミルラ エグランティーヌ》の匂いを徹底解剖
- エルメス《ミルラ エグランティーヌ》の匂いは神聖なミルラと野生のバラが織りなすピュアなフローラル
- ミルラという香料の正体は4000年の歴史を持つ神聖な樹脂
- エグランティーヌは野生のバラがもたらすみずみずしい青さ
- 香りの変化は軽やかでピュアな印象を一貫して保つ
- 使用シーンはパーティなど華やかな場所が最適
- 香りの持続性は控えめで上品な印象
エルメス《ミルラ エグランティーヌ》の匂いは神聖なミルラと野生のバラが織りなすピュアなフローラル
エルメスの《ミルラ エグランティーヌ》は、一言で表現するなら「繊細で研ぎ澄まされた大人のフローラル」です。この香水の最大の特徴は、古代から珍重されてきた樹脂香のミルラと、野生のバラであるエグランティーヌという、対照的な二つの香料が見事に調和している点にあります。
甘さの中にほのかな苦みも混じる樹脂香、ミルラ。古来、香として焚かれるなどして珍重されてきた希少な香料ミルラと競演するのはエグランティーヌという野生のばら。みずみずしい青さのあるローズの香りにミルラの甘さが重なる繊細なフローラルノート。
この説明から分かるように、《ミルラ エグランティーヌ》は単なる「バラの香水」ではありません。野生のバラがもたらすフレッシュで青みがかった香りが、ミルラの持つオリエンタルで深みのある甘さと絡み合うことで、他にはない独特の香りの世界が生まれています。一般的なローズ系の香水が持つ「ザ・花」というような濃厚さはなく、むしろ透明感と軽やかさが際立つのが特徴です。
製品情報を見ると、香りのタイプは「アンバー、ウッディ」とも分類されており、フローラルだけでなく温かみのある要素も含まれています。これはミルラの樹脂香がもたらす特性で、単に甘いだけでない、複雑で奥行きのある香りに仕上がっています。
また、「濁りのないピュアで研ぎ澄まされた軽やかなノート」という表現も重要なポイントです。エルメッセンスコレクションの特徴である「ミニマリズム」の哲学が、この香水にも貫かれており、余計な装飾を排して香料の本質だけを凝縮した結果、透明感のある香りに仕上がっているのです。
実際の使用感としては、最初にスプレーした瞬間から最後まで、一貫して軽やかで上品な印象を保ちます。重すぎず、かといって物足りなさもない、絶妙なバランスが魅力です。香りの強さを示す「香りのインテンス」は5段階中2と控えめで、周囲を圧倒することなく、近くにいる人だけがふわりと感じ取れる程度の拡散性となっています。
ミルラという香料の正体は4000年の歴史を持つ神聖な樹脂
《ミルラ エグランティーヌ》を理解する上で、まず知っておきたいのがミルラという香料についてです。ミルラは日本語で「没薬(もつやく)」とも呼ばれ、実に4000年以上も前から人類が使用してきた歴史ある香料なのです。
ミルラは甘くスパイシーでオリエンタル調の心安らぐ香り。第1チャクラに作用するともいわれており、瞑想や物事をじっくり考える時に最適です。4000年以上も昔から使用され、歴史のあるミルラは「没薬(もつやく)」とも呼ばれ、木の樹脂を乾燥させたものから作られています。祈りや儀式の神聖な場ではフランキンセンス(乳香)とともにお香として焚かれるなど、神々への供物として捧げられる神聖なものとして扱われていました。
ミルラは木の樹脂を乾燥させたもので、採取方法も独特です。コンミフォラ属の樹木の樹皮に傷をつけると、黄色い樹液が滲み出し、それが空気に触れて赤褐色に固まります。この固まった樹脂がミルラとなります。自然の力で生まれる貴重な香料であることが、その神聖さの理由の一つかもしれません。
古代エジプトでは、ミルラは「ミイラ」の語源になったとも言われており、実際に遺体の防腐処理に使用されていました。これは単なる迷信ではなく、ミルラが持つ強力な殺菌、消毒、抗ウイルス作用によるものです。現代でも、ミルラは口腔ケア製品や傷の治療などに使われることがあります。
香りの特徴としては、「甘くスパイシーでオリエンタル調」という表現が的確です。バニラのような甘さとは異なり、深みがあって少しほろ苦い、大人っぽい甘さです。スパイシーな要素も含まれているため、単調にならず、時間とともに表情を変えていく複雑さがあります。
また、ミルラは第1チャクラに作用するとされ、スピリチュアルな側面でも注目されています。瞑想や内省の時間に適した香りとされており、心を落ち着かせ、自分自身と向き合うサポートをしてくれると考えられています。このような背景を知ると、《ミルラ エグランティーヌ》が単なる香水ではなく、精神性を持った香りであることが理解できるでしょう。
エグランティーヌは野生のバラがもたらすみずみずしい青さ
《ミルラ エグランティーヌ》のもう一つの主役が、エグランティーヌです。エグランティーヌとは、フランス語で野生のバラを指す言葉で、英語では「スウィートブライアー」や「エグランタイン・ローズ」と呼ばれます。一般的な栽培されたバラとは異なり、野生種特有の清涼感とフレッシュさを持っています。
野生のバラの最大の特徴は、「みずみずしい青さのある香り」です。温室で育てられた豪華なバラが持つ濃厚で甘い香りとは対照的に、野生のバラは朝露を含んだような清々しさと、葉や茎を思わせるグリーンな要素を含んでいます。これが「青さ」と表現される所以です。
この野生のバラの香りが、ミルラの持つ深く重厚な樹脂香と組み合わさることで、《ミルラ エグランティーヌ》独特のバランスが生まれます。ミルラだけでは重すぎる印象になりかねないところを、エグランティーヌの軽やかさが引き上げ、同時にバラだけでは物足りない深みをミルラが補完しているのです。
エルメスの調香師たちは、このような対照的な香料の組み合わせを得意としています。エルメッセンスコレクション全体を見ても、意表をつく組み合わせで独創的な香りを生み出すことがコンセプトとなっており、《ミルラ エグランティーヌ》もその哲学を体現した作品と言えるでしょう。
一般的なローズ系香水との違いは明確です。市場に多く出回っているローズの香水は、ダマスクローズやセンティフォリアローズといった栽培種を使用していることが多く、華やかで甘美な印象が強調されます。一方、《ミルラ エグランティーヌ》は野生のバラを選択することで、より自然で素朴、そして洗練された印象を実現しています。
野生のバラがもたらすもう一つの要素が、控えめながら存在感のある香りです。主張しすぎず、しかし確かに存在を感じさせる。この絶妙な塩梅が、《ミルラ エグランティーヌ》を「濁りのないピュアな香り」として成立させているのです。
香りの変化は軽やかでピュアな印象を一貫して保つ
香水の魅力を語る上で欠かせないのが、時間経過による香りの変化です。一般的に香水は、トップノート(つけた直後)、ミドルノート(30分〜2時間後)、ラストノート(2時間以降)という3段階で香りが変化していきます。では、《ミルラ エグランティーヌ》はどのような変化を見せるのでしょうか。
この香水の特徴は、劇的な変化よりも「一貫性」にあります。つけた瞬間から最後まで、「軽やかでピュアなフローラル」という印象が貫かれています。これはエルメッセンスコレクションの哲学である「香りの本質を凝縮する」というアプローチの結果です。
トップノートでは、エグランティーヌのみずみずしい青さが最初に感じられます。フレッシュで清涼感のある印象で、朝の庭に咲く野生のバラを摘んだ時のような自然な香りです。この段階では、ミルラの存在は控えめで、背景に薄く漂っている程度です。
ミドルノートに入ると、ミルラの甘さとスパイシーさが徐々に表れてきます。しかし、決して重くなりすぎることはありません。野生のバラの清涼感とミルラの温かみが均等に混ざり合い、最も調和の取れた状態になります。この段階が《ミルラ エグランティーヌ》の真骨頂と言えるでしょう。
ラストノートでは、ミルラのウッディでアンバーな側面が少し強く出てきますが、それでも軽やかさは失われません。肌に馴染み、自分の体温と混ざることで、よりパーソナルな香りに変化していきます。最後まで上品で控えめな印象を保ち、不快感を与えることがありません。
🌹香りの変化タイミング別の印象
段階 | 時間 | 主な香り | 印象 |
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トップノート | 0〜30分 | エグランティーヌ中心 | みずみずしく清涼感のあるフレッシュさ |
ミドルノート | 30分〜2時間 | バラとミルラのバランス | 最も調和が取れた繊細なフローラル |
ラストノート | 2時間以降 | ミルラのウッディ・アンバー | 温かみのある落ち着いた残り香 |
この一貫性は、調香におけるミニマリズムの表れです。多くの香料を重ねて複雑さを出すのではなく、厳選された香料だけを使い、その本質を最大限に引き出す。それがエルメスの調香哲学であり、《ミルラ エグランティーヌ》もその思想を体現しています。
使用シーンはパーティなど華やかな場所が最適
どんなに素晴らしい香水でも、使用するシーンを誤ると本来の魅力を発揮できません。《ミルラ エグランティーヌ》は、一体どんな場面で真価を発揮するのでしょうか。
公式の推奨シーンとしては「パーティなど華やかな場所に出る日」とされています。これは、この香水が持つ上品さと存在感のバランスによるものです。華やかな場所では、ある程度の個性と印象が必要ですが、《ミルラ エグランティーヌ》は主張しすぎることなく、洗練された印象を与えることができます。
パーティや特別なイベント以外にも、おそらく以下のようなシーンに適していると考えられます。まず、美術館やギャラリー、クラシックコンサートなど、文化的で静謐な雰囲気の場所です。この香水が持つ芸術性と精神性は、そうした空間に溶け込むことでしょう。
また、レストランでのディナーや高級ホテルのラウンジなど、大人の社交場にもふさわしいでしょう。食事の場では強すぎる香りはマナー違反ですが、《ミルラ エグランティーヌ》の控えめな拡散性なら問題ありません。むしろ、近くに座った人だけが気づく程度の香りが、より洗練された印象を与えます。
一方で、あまり向いていないシーンもあります。カジュアルすぎる日常使いや、スポーツをする時などは、この香水の持つ格式が浮いてしまうかもしれません。また、オフィスでの使用については、職場の雰囲気次第ですが、一般的には少量の使用に留めた方が無難でしょう。
✨おすすめ使用シーン
- ✓ 結婚式やパーティなどフォーマルな社交の場
- ✓ デートやアニバーサリーディナー
- ✓ 美術館、ギャラリー、コンサートなど文化的イベント
- ✓ 高級レストランやホテルのラウンジ
- ✓ 特別な日の自分へのご褒美として
また、季節的には秋から冬にかけてが最も適していると考えられます。ミルラの持つ温かみのある樹脂香は、涼しい季節により映えます。春夏に使用しても問題ありませんが、その場合は少量にとどめ、肌の体温が上がりすぎない涼しい時間帯に使用するのがおすすめです。
香りの持続性は控えめで上品な印象
香水を選ぶ際の重要な要素の一つが持続時間です。《ミルラ エグランティーヌ》はオードトワレであり、オードパルファムやパルファンと比べると濃度が低めです。一般的にオードトワレの持続時間は3〜4時間程度とされています。
《ミルラ エグランティーヌ》も例外ではなく、香りの持続性は控えめです。しかし、これは欠点というよりも、むしろこの香水の個性と言えます。強く長く香るよりも、適度な時間だけ上品に香り、自然にフェードアウトしていく。それが、エルメスが目指す「洗練された香り」の形なのです。
持続時間が短いということは、つけ直しが必要になる場面もあるということです。長時間のイベントに参加する場合は、小さなアトマイザーに詰め替えて持ち歩くと便利でしょう。エルメッセンスコレクションには15ml×4本のセット(¥24,200)もラインナップされており、これを活用すれば携帯用と自宅用を使い分けることができます。
また、オードトワレという形式は、季節や気分によって他の香りと重ねづけしやすいというメリットもあります。同じエルメッセンスコレクションの他のフレグランスや、エッセンス ドゥ パルファムなどと組み合わせることで、自分だけのオリジナルな香りを創り出すこともできます。
💎持続性を高めるテクニック
方法 | 効果 | 注意点 |
---|---|---|
保湿した肌につける | 乾燥肌より香りが長持ちする | 香りのない保湿剤を使用 |
脈打つ部位につける | 体温で香りが広がりやすい | 手首、首筋、耳の後ろなど |
髪につける | 髪が香りを保持する | 直接スプレーせず手につけてから |
衣類の内側につける | 繊維が香りを保持する | シミになりやすい素材は避ける |
控えめな持続性は、香水初心者にとっても扱いやすいという側面があります。失敗しても数時間で消えるため、「つけすぎてしまった」という失敗のダメージが少なくて済みます。また、仕事終わりに別の予定がある時など、香りを切り替えたい場面でも便利です。
エルメス オードトワレ《ミルラ エグランティーヌ》の匂いを楽しむための完全ガイド
- エルメッセンスコレクションとは調香師が紡ぐ香りの詩
- 調香師クリスティン・ナゲルが手がける繊細な世界観
- 価格設定は100mlで4万円前後の高級ライン
- 他のエルメス香水との比較で見える独自の個性
- 付け方のコツは少量を肌に直接つけること
- 保管方法は直射日光と高温多湿を避ける
- まとめ:エルメス オードトワレ《ミルラ エグランティーヌ》の匂いは繊細で神聖な大人のフローラル
エルメッセンスコレクションとは調香師が紡ぐ香りの詩
《ミルラ エグランティーヌ》を深く理解するには、それが属する「エルメッセンス」コレクションについて知る必要があります。エルメッセンスとは、エルメスというメゾンの本質とフレグランスの魂を語る、特別なコレクションなのです。
エルメス(HERMÈS)のエッセンス──メゾンの神髄とフレグランスの魂を語るのが《エルメッセンス》コレクション。美しいカラーのレザーキャップが特徴のコレクションは、2004年に初代専属調香師のジャン=クロード・エレナの手がけた4つのオード トワレから始まった。彼は最高品質の素材、巧みな調香技術、そして思いもかけない独創的なアイディアで新たな香りを次々と生みだした。
エルメッセンスコレクションの始まりは2004年。初代専属調香師ジャン=クロード・エレナが手がけた4つのオードトワレからスタートしました。彼の調香哲学は「香りが奏でる詩」とも「香りの俳句」とも例えられます。これは、厳選された素材をミニマルに使い、香りの魅力を凝縮するアプローチを表しています。
一般的な商業香水が、多数の香料を重ねて複雑さや豪華さを演出するのに対し、エルメッセンスは真逆のアプローチです。余計なものを削ぎ落とし、本質だけを残す。まさに俳句が限られた文字数で深い世界を表現するように、限られた香料で豊かな香りの世界を創り出すのです。
現在のエルメッセンスコレクションは、13のオードトワレ、1つのオードパルファム、2つのエッセンス ドゥ パルファムで構成される計16種類となっています。それぞれが独立した個性を持ちながらも、エルメスというメゾンの美学を共有しています。
コレクションの特徴として、美しいカラーのレザーキャップも見逃せません。エルメスといえばレザーグッズの名門。その技術と美学が香水のパッケージにも反映されているのです。各香水ごとに異なる色のレザーキャップは、視覚的にもコレクション性を高めており、並べて飾るだけでも美しいオブジェとなります。
🎨エルメッセンスコレクションの特徴
- ✓ 厳選された素材のミニマルな使用
- ✓ 「香りの詩」「香りの俳句」と評される洗練された調香
- ✓ 2004年から続く歴史あるコレクション
- ✓ 16種類の個性的なフレグランス
- ✓ 美しいレザーキャップが特徴的なボトルデザイン
- ✓ 重ねづけも楽しめる設計
このコレクションには、人や素材、風景や国、文化に言葉など、調香師のさまざまな出合いが香りに変換されています。《ミルラ エグランティーヌ》も、古代から続くミルラの歴史と、野生のバラという自然の美しさとの出合いから生まれた一品なのです。
調香師クリスティン・ナゲルが手がける繊細な世界観
《ミルラ エグランティーヌ》を創り出したのは、エルメスの2代目専属調香師クリスティン・ナゲル(Christine Nagel)です。初代ジャン=クロード・エレナから受け継いだエルメッセンスの哲学を、彼女なりの解釈で発展させています。
クリスティン・ナゲルは2014年にエルメスの専属調香師に就任しました。それ以前は、ジョーマローンやナルシソ・ロドリゲスなど、多くの名香を手がけてきた実績のある調香師です。エルメスでは、伝統を尊重しながらも、現代的な感性を取り入れた香りを創作し続けています。
彼女の調香スタイルの特徴は、繊細さと大胆さの共存です。《ミルラ エグランティーヌ》を見ても、古代の神聖な香料ミルラと野生のバラという、一見すると対極にある素材を組み合わせる発想は、並の調香師には思いつかないでしょう。しかし、それを軽やかで透明感のある香りに仕上げる繊細な技術も持ち合わせています。
ナゲルが手がけるエルメッセンスの香りは、単に「良い香り」というだけでなく、物語性を持っています。それぞれの香水には、インスピレーションの源となった場所や記憶、感情が込められており、使う人もその物語の一部になれるのです。
また、彼女は香料の品質にも徹底的にこだわります。エルメッセンスで使用される香料は、最高品質のものが厳選されており、天然由来の素材が中心です。《ミルラ エグランティーヌ》のミルラも、おそらく産地や収穫時期まで吟味された上質なものが使われているでしょう。
👩🔬クリスティン・ナゲルの調香哲学
要素 | 特徴 | 《ミルラ エグランティーヌ》での表現 |
---|---|---|
ミニマリズム | 厳選された素材だけを使用 | ミルラとエグランティーヌの2つが中心 |
対比の美学 | 対照的な香料の調和 | 神聖な樹脂と野生のバラの融合 |
透明感 | 濁りのない純粋な香り | ピュアで軽やかなフローラルノート |
物語性 | 香りに込められた背景 | 古代の神聖な儀式と自然の美しさ |
ナゲルの作品は、使う人の個性を引き立てる香りでもあります。主張しすぎず、しかし確かな存在感を持つ。これは、エルメスというブランドが大切にしてきた「控えめな贅沢」の精神とも通じています。
価格設定は100mlで4万円前後の高級ライン
《ミルラ エグランティーヌ》の価格について、情報源によって若干の差異が見られます。これは参考価格と実売価格、あるいは調査時期の違いによるものと思われます。
収集した情報によると、100mlボトルの価格は以下のように記載されています:
- Vogue Japanの記事:¥41,360
- LIPSの商品ページ:¥39,820(参考価格)
- madameFIGARO.jpの記事:¥35,860
この価格帯は、一般的な香水と比較すると明らかに高級ラインに位置します。デパートで販売されている人気ブランドの香水が1万円前後であることを考えると、3〜4倍の価格設定です。しかし、これはエルメスというラグジュアリーブランドの製品であり、かつエルメッセンスという特別なコレクションであることを考えれば、納得の価格と言えるでしょう。
また、15ml×4本のセット(¥24,200)も選択肢としてあります。こちらは合計60mlなので、100mlボトルと比べると若干割高ですが、以下のようなメリットがあります:
💰サイズ別価格とメリット比較
サイズ | 価格(目安) | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
100ml | ¥35,000〜41,000 | コストパフォーマンスが良い | 使い切るまで時間がかかる |
15ml×4本 | ¥24,200 | 携帯に便利、劣化リスク分散 | 単価は割高 |
15mlの小サイズは、旅行や外出時の持ち運びに便利です。また、香水は開封後時間が経つと酸化して香りが変化する可能性があるため、小分けにしておくことで品質を保ちやすいというメリットもあります。
この価格帯の香水を購入する際は、実際に店頭で試香することを強くおすすめします。オンラインの情報だけで判断するには高額すぎるため、自分の肌でどう香るか、本当に気に入るかを確認してから購入すべきでしょう。エルメスの店舗や百貨店のフレグランスカウンターで、サンプルをもらえる場合もあります。
また、購入場所によっても価格は変動します。公式ブティックでは定価販売が基本ですが、百貨店のポイント還元や免税店、並行輸入品を扱うオンラインショップなどでは、多少安く購入できる可能性もあります。ただし、正規品であることの確認は必須です。
他のエルメス香水との比較で見える独自の個性
エルメスは《ミルラ エグランティーヌ》以外にも、多彩な香水を展開しています。エルメッセンスコレクション内の他の香りや、「庭シリーズ」と呼ばれる人気ラインなど、それぞれが独自の個性を持っています。比較することで、《ミルラ エグランティーヌ》の立ち位置がより明確になるでしょう。
エルメッセンスコレクション内で特に人気が高いのが《ローズ イケバナ》です。こちらもバラを使った香りですが、日本の生け花にインスパイアされた作品で、ルバーブ(食用大黄)を組み合わせています。《ローズ イケバナ》が「清々しい朝の空気の中で咲き誇る一輪のバラ」だとすれば、《ミルラ エグランティーヌ》は「夕暮れの神殿に供えられた野生のバラ」といった印象でしょうか。前者がよりフレッシュで明るいのに対し、後者は神秘的で精神性が高いのです。
また、《ベチバー トンカ》も人気作の一つです。こちらはウッディ系の香りで、ベチバー(イネ科植物の根)とトンカ豆を組み合わせています。《ミルラ エグランティーヌ》もウッディ・アンバーの要素を持ちますが、《ベチバー トンカ》がより男性的で力強い印象なのに対し、《ミルラ エグランティーヌ》はフローラルノートが前面に出るため、より女性的で繊細です。
エルメッセンス以外では、「庭シリーズ」が有名です。《ナイルの庭》《屋根の上の庭》《ラグーナの庭》《モンスーンの庭》など、世界各地の庭をテーマにした香りが展開されています。これらは比較的カジュアルで日常使いしやすい香りが多いのに対し、エルメッセンスは特別な日やシーンのための香りという位置づけかもしれません。
🌺エルメッセンス主要作品との比較
香水名 | 主要香料 | 印象 | 共通点と相違点 |
---|---|---|---|
ミルラ エグランティーヌ | ミルラ・野生のバラ | 神秘的で繊細なフローラル | 野生のバラを使用 |
ローズ イケバナ | ローズ・ルバーブ | フレッシュで清々しい | 同じバラでもイケバナは朝、ミルラは夕方の印象 |
ベチバー トンカ | ベチバー・トンカ豆 | 深くて温かいウッディ | ウッディ要素は共通、性別印象が異なる |
オスマンサス ユンナン | 金木犀・茶葉 | エキゾチックで魅惑的 | オリエンタル要素は共通 |
《ミルラ エグランティーヌ》の独自性は、神聖さと自然の美しさを同時に表現している点にあります。多くのフローラル香水が「花の美しさ」だけを追求するのに対し、この香水はミルラという宗教儀式にも使われる香料を加えることで、精神性の高い香りに仕上がっているのです。
また、香りの濃度も重要な違いです。エルメッセンスのほとんどがオードトワレで、日常的に使いやすい濃度設定になっています。一方、《ウード アルザン》はオードパルファムで、より濃厚で持続性があります。《ミルラ エグランティーヌ》は標準的なオードトワレなので、適度な濃さで使いやすいと言えるでしょう。
付け方のコツは少量を肌に直接つけること
高級香水を最大限に楽しむには、正しい使い方を知ることが重要です。《ミルラ エグランティーヌ》のような繊細な香りは、特に付け方によって印象が大きく変わります。
基本的な付け方として、脈打つ部位につけるのがセオリーです。手首の内側、首筋、耳の後ろ、肘の内側、膝の裏側などが代表的なポイントです。これらの部位は体温が高く、血管が皮膚に近いため、香りが温められて自然に拡散します。
ただし、《ミルラ エグランティーヌ》は控えめな香りなので、つけすぎの心配は比較的少ないでしょう。それでも、最初は1〜2プッシュから始めて、自分の肌でどの程度香るかを確認することをおすすめします。香水は肌質やpH、体温によって香り方が変わるため、他人と同じ量で同じように香るとは限りません。
また、エルメッセンスのようなオードトワレは、肌に直接つけることで真価を発揮します。衣類につけると香りが変質したり、シミになったりする可能性があるためです。もし衣類につけたい場合は、裏地や見えない部分に少量つけるか、空中にスプレーしてその中を通り抜ける「くぐり付け」がおすすめです。
✨効果的な付け方のポイント
- ✓ 清潔な肌につける(シャワー後が最適)
- ✓ 保湿した肌の方が香りが長持ちする
- ✓ こすらずに自然に乾かす
- ✓ 複数箇所に分散させるより1〜2箇所に集中させる
- ✓ 香りのピークを考えて外出30分前につける
NGな付け方もいくつかあります。まず、つけた後に両手首をこすり合わせるのは避けましょう。これは香水分子を破壊し、香りを変質させる原因になります。また、直射日光が当たる部位につけるのも避けるべきです。紫外線と香水成分が反応してシミの原因になることがあります。
《ミルラ エグランティーヌ》の場合、首筋や耳の後ろなど、顔に近い部位につけるのが特におすすめです。自分自身が香りを楽しめる位置であり、また会話の際に相手がほのかに香りを感じられる程度の距離感が、この香水の魅力を最も引き出すでしょう。
重ねづけに挑戦したい場合は、同じエルメッセンスコレクションの《カルダムスク》や《ムスク パリダ》といったエッセンス ドゥ パルファムと組み合わせるのも一案です。これらは肌に直接つけることを前提に作られており、《ミルラ エグランティーヌ》との相性も計算されているはずです。
保管方法は直射日光と高温多湿を避ける
高級香水は正しく保管しないと、香りが劣化してしまいます。4万円前後もする《ミルラ エグランティーヌ》を長く楽しむためには、適切な保管方法を知っておく必要があります。
香水の大敵は、光、熱、湿気、そして空気です。これらの要素が香水成分を酸化させ、本来の香りを損なわせます。最も避けるべきは直射日光で、窓際に置いておくだけでも数週間で香りが変化してしまう可能性があります。
理想的な保管場所は、直射日光が当たらない涼しく乾燥した場所です。具体的には、クローゼットの中や引き出しの中などが適しています。一部では冷蔵庫保管を推奨する意見もありますが、これには賛否があります。確かに低温は香水の劣化を遅らせますが、冷蔵庫の開け閉めによる温度変化や、他の食品の臭い移りのリスクもあるためです。
使用後は必ずキャップをしっかり閉めることも重要です。空気に触れることで酸化が進むため、使わない時は密閉しておく必要があります。エルメッセンスのボトルには美しいレザーキャップがついていますが、これは見た目だけでなく、密閉性を高める実用的な役割も果たしています。
🏠理想的な保管環境
要素 | 理想的な条件 | 避けるべき状況 |
---|---|---|
温度 | 15〜20℃程度 | 25℃以上の高温、急激な温度変化 |
湿度 | 低湿度 | 浴室など高湿度の場所 |
光 | 暗所 | 直射日光、強い照明 |
空気 | 密閉状態 | 長時間の開栓状態 |
香水の使用期限については、未開封であれば3年程度、開封後は1年程度が目安とされています。ただし、これは保管状態によって大きく変わります。適切に保管すれば、開封後でも2〜3年は品質を保てることもあります。
香りが変化したかどうかを見分けるポイントは、色と香りです。オードトワレは本来透明か淡い色ですが、酸化すると黄色っぽく変色することがあります。また、つけた時に本来とは異なる刺激的な香りがしたり、アルコール臭が強く感じられたりする場合は、劣化している可能性があります。
《ミルラ エグランティーヌ》のような高級香水は、できるだけ早く使い切るのが理想です。「もったいないから」と大切にしまい込むよりも、日常的に使って楽しむ方が、香水本来の価値を活かせるでしょう。それでも使い切れない場合は、15ml×4本セットを選ぶことで、劣化リスクを分散できます。
まとめ:エルメス オードトワレ《ミルラ エグランティーヌ》の匂いは繊細で神聖な大人のフローラル
最後に記事のポイントをまとめます。
- エルメス《ミルラ エグランティーヌ》の香りは、古代から珍重されるミルラと野生のバラが織りなす繊細なフローラルノート
- ミルラは4000年以上の歴史を持つ神聖な樹脂香で、甘くスパイシーでオリエンタル調の深みがある
- エグランティーヌは野生のバラで、みずみずしい青さと清涼感をもたらす
- 香りの変化は劇的ではなく、一貫して軽やかでピュアな印象を保つ
- パーティや華やかな場所など、特別なシーンに最適な香水
- 香りの持続時間は3〜4時間程度と控えめで、上品にフェードアウトする
- エルメッセンスコレクションは「香りの詩」と称される洗練された調香哲学に基づく
- 2代目専属調香師クリスティン・ナゲルの繊細さと大胆さが共存する技術の結晶
- 100mlボトルの価格は3.5万円〜4万円程度の高級ライン
- 15ml×4本セットは携帯性と品質保持の面でメリットがある
- エルメッセンス内の他の香りと比較して、神聖さと自然美を同時に表現する独自性がある
- 脈打つ部位に少量つけ、こすらずに自然に乾かすのが正しい使用法
- 直射日光と高温多湿を避け、涼しく暗い場所で保管することで品質を保てる
- 濁りのない透明感と軽やかさがエルメスのミニマリズム哲学の体現
- 重ねづけにも対応し、他のエルメッセンス製品との相性も考慮された設計
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- エルメスの魂を香りで感じる。《エルメッセンス》の16の香水をすべてレビュー | Vogue Japan
- 【試してみた】エルメス オー ド トワレ 《ミルラ エグランティーヌ》のリアルな口コミ・レビュー | LIPS
- 香りが導く、自分との濃密な時間。|Beauty|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)
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